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盛り上がりました花王子パロ。
設定の説明等はなく続きより唐突に始まります。


「さようなら、僕の御主人様。」
 泣き出しそうな顔をした愛しい彼女に僕は微笑みかけた。
 精一杯の虚勢を張り、普段通りの余裕の笑みを浮かべた。

むこうとこちらを行き来する独特の浮遊感と共に
彼女の姿が目の前から掻き消えて、気が付くと自分の邸の
廂に立っていた。
僕の帰還に気付いた家人が世話をしようと駆け寄ってくるのを
辞して足早に自室へと引っ込んだ。

一人になると、最後の彼女の姿を思い出し堪えていた想いが
抑えきれずにその場にまるで崩れ落ちるように膝を折った。

 僕は最後の瞬間までしっかりと笑えていただろうか。
 彼女の今にも泣きだしそうに震える肩を抱きたいと愛おしさに
 悲鳴を上げる心を抑えることが出来ていただろうか。

そんな自問自答を心の中で繰り返す。
悲しいはずなのに、いっそ泣ければどれだけ楽だろうと思うのに、
一向に涙は零れてこなかった。

そんなとき―

ギィー…バタン!と無遠慮に自室の妻戸が開く音がして
ドスドスと部屋の中に足音が響く。
誰だろう。家人は許しが無い限り部屋には入らないように
教育はされているし、帰還してすぐに王子としての急ぎの責務は無いはずだ。
自分の大切な時にやってきた闖入者に少なからず苛立ちを覚えていると、
闖入者は母屋の御簾を押し上げ、僕の姿を確認すると素っ頓狂な声を上げた。

「何だ弁慶。お前が帰って来たと聞いたから来たのに、何ていう顔をしてるんだ。」
「…九郎。」
「もう夕刻だというのに明かりも点けずに!また目が悪くなるぞ!」
 そう言って勝手に火打石を探し出し、燭台に火を灯す九郎に力なく答える。
「一人にしてもらえませんか…帰って来たばかりで少し疲れているんです。」
「? どうした、お前らしくもない。」
 そう九郎は怪訝そうに眉間に皺を寄せるが応じてやる気力もなく黙り込んでいると
 九郎が低く問うてくる。
「お前…主人に特別な想いを抱いたのか?」
 無言を通していると沈黙を肯定と取った九郎が言葉を続ける。
「馬鹿なことを。好意を寄せたところで必ず別れが来る。
 想いが深まるほど自分が辛くなる。想い会っていれば主人も辛い想いをするんだぞ!」

「分かっています。分かっていたつもりでした。…けれど、止められなかった。
 変わりたいと頑張る姿を、弱った姿を、愛おしげに僕を見上げる笑顔を傍らで見続けて
 育っていく想いを止められなかったんです。
 いつか帰らなければならない。時を止めることは出来ない。
 だから、彼女に想いを伝えることも、彼女の想いを受け止めることも出来なかった。
 僕に出来ることは、せめて僕が去った後に彼女が辛くならないように笑顔で…
 何の未練も無いような笑顔で彼女の目の前から去る事だけだった…。」

それも出来たかどうか怪しいですけど…。
そう自嘲する僕に九郎は苦いものを飲み下したような表情を浮かべて
僕から目を反らし、一言、「本当にお前は馬鹿だ。」と呟いた。

***********

花王子で初めてポコンしたのがこちら。

帰り際に弁慶はきっと最後まで綺麗に笑えています。
綺麗過ぎて逆に切なくなるほどに綺麗に笑っています。

九郎は真面目で、優等生で、鈍いので今まで御主人様に特別な感情を抱いたことはありません。
意外にある意味、弁慶よりも九郎は仕事を仕事と割り切ってやれそう。
このまま、恋も知らぬまま王位について貰った后が初恋になるか、
思わぬところで大恋愛するかのどっちかと思われ…(どっちかしかないけどさ。)

最後の「本当にお前は馬鹿だ」は"なんで傷いてまで恋なんてするんだ"という言っても
しょうがないと分かりつつの抑えきれない感情と、相手のことを考えて想いを抑えて帰って来た
弁慶の内にためる性質へのやりきれなさと、弁慶がこんな状況だから主人も弁慶の気持ちを
気付いてただろうなと感じた九郎の主人への同情の思いが籠ってます…たぶん。

弁慶は恋する痛みも愛しいと想う気持ちもすべて彼女が最後が良い。
という心を持ちつつ、贖罪の如く花王子の仕事を続けていくんだろうなという妄想。
(語りなげぇ。)
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