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いつの頃であった、左大臣で藤原信武という人がいた。
容貌・学識を始めとして世間の評判も並々ではなく優れていたので、
人から見れば何一つ不満などないように見えるが、心中には1つ
ささやかな悩み事があった。

信武には奥方との間に2人の子供があった。
双子として生を受けた子供たちの容貌はどちらも優れており、
2人の顔は良く似ていて取り違えそうなくらいであった。

しかし、似ているとはいっても、敦盛と名付けられた若君は上品で気品高く
女性のような可憐さを感じる一方、都と名付けられた姫君は華やかで気力に
溢れており幾ら見ていても飽きないほどの愛嬌は類が無いほど素晴らしかった。




都姫はとてもいたずら好きで、滅多に家の中に居る事はなく、
若い男や童と蹴鞠や小弓ばかりして遊んでいる。
そして、信武を尋ねてくる客人の側へ走り出ては見よう見まねで笛を吹いたり、
漢詩や和歌を作ったりと日々若君らしく成長しておりました。

一方、敦盛は成長するにつれて、生来の人見知りも相まってあまり外へと
自分から出ようとはせず、都姫に連れ出される以外は慣れた女房や女童しか
立ち入らない部屋の中で、絵描き・雛遊び・貝覆といった女性の遊びをしておりました。
心配した信武が漢籍の書物と笛を与え、男性としての素養を養わせようとしました。
元来明晰で風雅なことに秀でた敦盛は漢籍を完璧に覚え、笛などは都姫以上の腕前に
なりましたが、引っ込み思案な性格から漢籍の知識や笛を人前で披露しようとせず、
その美貌も相まってまるで妃がねとなりうる姫君のようだと女房たちから言われておりました。

そんな子供たちの様子を見るにつけ、信武は2人の子の頭を撫でながら
「取り替えられればいいのにね」と思っておりました。
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