忍者ブログ
遙か作品の集う場所。
| Admin | Write | Comment |
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
最古記事
P R
アクセス解析
アクセス解析
アクセス解析
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


「遅い、兄上。」
「えっ?」
肩を落として自室に戻った敦盛を出迎えたのは
都姫の不機嫌顔で、敦盛は別の対にいるはずの妹が
何故ここで不機嫌になっているのかが分からず一瞬、
悩んでいたことも忘れて目を白黒させた。


「父上のところに行っていたんでしょう?兄上だけ呼ばれるだなんて、ずるい。」
「すまない…」
いつもなら「すまない」といいながら苦笑する兄が切なげな顔をしているのに、
都姫は怪訝な顔を浮かべた。
「兄上、どうかしたの?」
「いや…」
「どうしたの?」

結局、敦盛は父の居室での出来事を全て話し、
不安な心持ちであることまで全て打ち明けていた。

「兄上の元服出仕に私の裳着…。」
「あぁ…。」
「出仕するの?」
「したくなくても…許されないだろう」
「私は嫌よ。」
「え?」
「裳着を済ませたら、御簾の中で大人してなきゃならないじゃない。
 私はそんな生活嫌よ…そうだ!いい事思いついた。」
きっぱりと言い切る片割れに人気のない塗籠にされるがままに連れ込まれる。

「入れ替わりましょう、兄上。」
「いっ…?!」
静かにっ!と注意されて「すまない。」と敦盛が続きを促すと都姫は
更に押さえた声で続ける。
「ただ大人しく諦めるなんて出来ない。元服と裳着の式の後に入れ替わるのよ。
 私は漢籍も笛も弓もひけるから出仕にも問題ないし、自由に外を歩ける。」
「都の弓の腕は素晴らしいが…」
「裳着を過ぎれば男性との面会は基本簾中、声はあまり聞かせちゃいけないし、
 兄上はかな文字も和歌も私より上手だから問題ないじゃない。」
「しかし、そのようなことをして大丈夫だろうか…。」
「大丈夫よ。決行は式の後、初出仕の日からね。」

そう言い置いて塗籠から先に出て行く都を見送りながら、
少し気は晴れたが、新たな心配事が出来た敦盛であった。
PR
この記事にコメントする
NAME:
TITLE:
MAIL:
URL:
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS: 管理人のみ表示

この記事にトラックバックする



この記事へのトラックバック
≪ Back  │HOME│  Next ≫

[9] [8] [7] [6] [5] [4] [3] [2] [1]

Copyright c 春の夜の夢。。All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog / Template by カキゴオリ☆ / Material By はながら屋
忍者ブログ [PR]