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夢中になっていた本を読み終わり、ふと顔を上げるとリビングの壁に掛かった
時計の針がもうすぐ今日という日の終わりを告げようとしていた。

『もうすぐ11日・・・誕生日か。』
25にもなったのだから誕生日を心待ちにするような
純真さは持ち合わせていないが、時計の針の音しか聞こえないような
静かな部屋で一人迎える初めての誕生日は流石に少し淋しさを覚える。

去年までは実家住まいで、隣家に住む8つも歳が離れた僕の事を大好きだと
公言して止まない少女が誕生日前夜から乗り込んで来ては
「また弁慶さんと歳が離れちゃうっ!」とか
「あ、歳が離れても弁慶さんの事は大好きですからねっ!モチロン!」などと
散々賑やかに話していたし、日付が変わった瞬間に
「誕生日おめでとうございます、弁慶さん。生まれてきてくれてありがとう。」
と祝ってくれていた。

いつの頃からか続いていたこの恒例行事を少し煩く思っていたけれど…。
「彼女の声が聴こえない誕生日を落ち着かなく感じるなんて…僕は勝手ですね。」
いつの間にあの子が隣りに居る事が僕の中でこんなに当たり前になっていたんでしょう?
と少し苦笑した瞬間―。

ピンポーン。

時計が午前0時を指すと同時に部屋のチャイムが響き渡った。
『もしや…』という予感が胸を走り、相手を確認する余裕も無く
扉を開けると、開いた扉の勢いに目を丸くした彼女が立っていた。

「唯さん…、どうして…。」
「お誕生日おめでとうございます、弁慶さん。生まれてきてくれてありがとうっ!」
そして、大好きです。と彼女は扉を開いたまま固まる僕に抱きついてくる。
「今、何時だと思ってるんですか…。」
「ダメだろうな…と思ってたんですけど、どうしても直接一番におめでとうが言いたくて」
「何も無かったから良かったようなものの、無鉄砲にも程があります。仕方の無い人ですね。」
そう言って黙り込んだ僕に「ごめんなさい…」、「怒りました…?」と見上げてくる彼女の頭を
苦笑つつ撫でながら、本当に仕方が無いのは彼女のこの無鉄砲な行動を嬉しいと思って
しまう…この僕ですねと心の中で呟いた。

#############

現代・積極的ヒロインで弁慶誕生日。
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